ポルトワインについて


  ポルトワインは、シガーと一緒の飲むにはコニャックと並んで、すばらしい時間を人々に提供してくれると思います。ここでは、ポルトワインのタイプと、主要な銘柄について述べたいと思います。

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  1. ポルトワインとは


  2. ポルトワインの種類


  3. ポルトワインに使われるブドウ品種


  4. 代表的な銘柄


  5. 保管などについて


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ポルトワインとは


  ポルトガルのドウロ地方で産出される酒精強化ワインで、DOCポルトとなります。ポートワインとも呼びます。(こちらで書かれているほうが多いかもしれません。)
  DOCポルトは1756年に世界で始めて原産地管理法の指定を受けた地域で、その基礎を作り上げた時の首相マルケス・デ・ボンバル侯爵の名はポルトを語る上でなくてはならないものである。
  ドウロ河の川沿い100Kmと、バルケイロスからバルカ・タルヴァまでのコルゴ河、トルト河ピニャオ河の渓谷沿いはポルトガルの黄金の指輪と呼ばれポルトワインの故郷であり、ポルトはワイン生産者管理委員会(カーサ・ド・ドウロ)によってポルトのブドウ畑は全てカダストロと呼ばれる格付けがなされておりAからFまでの6段階に分けられている。
  ポルトはブドウの収穫後、醗酵槽(ラガー)に入れられ、2〜3日後に77%のブランデーを加え酒精を強化し550リットル入りの樽で熟成させる。この時の比率は440〜450リットルの果汁に対し、ブランデーが100〜110リットルで、この作業をベネフィシオと呼んでいる。この後、年末まで保管された樽は澱引きあるいはアルコール濃度調整を行い、アデガと呼ばれる貯蔵庫で春まで眠りヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアに運ばれ原産地証明シールが樽に貼られる。アルコール度は16.5度〜22度に限定され一定期間を経てから、オポルト港から出荷しなくてはならない。1978年からはレグアもヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア同様ポルトの出荷地として認められるようになった。


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ポルトワインのタイプ



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ポルトに使用されるブドウ品種


  ポルトに試用できる品種は全部で29の品種が認可を受けている。使用できる品種は、主要品種と補助品種に分けられており、主要品種は 、最低60%を使わなくてはならず補助品種は40%までしか使うことは許されていない。品種については、以下の表を参照してくだ さい。

黒ブドウ
主要品種 補助品種
ティンタ・フランシスカ ティントカン
トウリガフランセサ トウリガナショナル
ティンタ・ロリッツ バスタルド
ムーリスコティント ティンタ・アマレラ
ティンタ・バロッカ
以上9品種
コルニフェスト ドンゼリーニョ
マルヴァシア ペリキュイタ
ルフェテ ティンタ・バルカ




以上6品種
白ブドウ
主要品種 補助品種
エスガナカン フオルガサン
グーベイオ マルバシア・フィナ
ラビガト ヴィオシニョ


以上6品種
アリント ボアル
セルシアル コテガ
サマリーニョ コラタ
モスカテルカレゴ ドンゼリーニョ・ブランコ
以上8品種


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代表的な銘柄


クロフト  Croft


  最も古くから年号入りのポルトを輸出している会社の一つ。1678年創立。うまくバランスの取れた年号入りポルトは、早く熟成する傾向にある。
  その他、軽い年のものは自家農園でもあるキンタ・ダ・ロエダ Quinta da Roeda の名前で出している。




ダウ  Dow


  年号入りポルトはかすかに「ヒマラヤ杉」のような香りを持つといわれ比較的辛口だが見事なもの。
  キンタ・ド・ポンフィン Quinta do Bomfim は、この会社の単一のブドウ畑で産するポルト。




フェッレイラ  Ferreira


  ポルトガル人が所有する最大のポルト栽培醸造者兼酒商のひとつ。年代物のトゥイニー比較的軽くてみずみずしい年号入りポルトでよく知られている




フォンセカ・ギマラエンス  Fonseca  Guimaraens


  イギリス人所有のポルトを扱う酒商。名声に包まれた第1人者で、色調濃い年号入りは強靭でまさに最良のものの1つとされる。




グラハム  Graham


  有名なポルトの酒商。年号いりポルトの中でもっとも芳醇でもっとも甘口の、そして最良のもののいくつかを扱う。
  大部分のワインは、 グラハム社所有のキンタ・ドス・マルヴェドス Quinta dos Malvedosで産出される。




キンタ・ド・ノヴァール  Quinta do Noval


  古い歴史を持つポルトの会社で果実の風味が強烈で構成のしっかりしたエレガントな年号入りポルトを作る。自社畑にわずかに残っている接木をしていないブドウの木から少量のトウリガナショナルを産する。これは並外れて色が濃く、コクがあり口当たりが良く時間をかけて熟成していく。




テイラー、フラッドゲイト・アンド・イートマン(テイラーズ)   Taylor,Fladgate and Yeatman (Taylor's)


  ポルトを扱う酒商の中で最上位に位置づけられることが多い。特に、コクがあって芳醇で寿命の長い年号入りと、熟成期間を表示したトゥイニーはすばらしい。ここのワインの持つ独特のスミレの香りは、自家ぶどう園であるヴァルジェラス Vargellas によってもたらされるという。
  いくつかの年には、キンタ・デ・ヴァルジェラス Quinta de Vargellas の名でブレンドしない単一収穫年の極上のポルトを出荷している。(ただし、ヴィンテージ的には並外れてよくは無いが悪くも無い年のものになるという。)




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保管などについて


  ここでは、デカンタージュが必要なヴィンテージポルトの保管などについて述ます。
  ヴィンテージポルトを飲む前にはデカンタージュする必要がありますが、基本的には空ける日が決まっている場合は、その前日にデカンタージュしても問題ありません。決まっていない場合は当日のデカンタージュということになります。
  以下に簡単な手順を書いておきます。
  1. デカンタージュする上で用意するもの

    • デキャンタ
    • コーヒーペーパー
    • コーヒーペーパーを入れる漏斗(コーヒーペーパー用の物。)
    • 澱の無い赤ワイン
    • デキャンタしたポルトを、元の便に戻すための漏斗(先が細いもの。)


  2. デカンタージュの手順

    1.   まず、デキャンタにコーヒーペーパーを入れた漏斗を乗せ、静かにポルトワインを注ぎ入れ濾過します。


    2.   全部濾過し終わったら、ポルト酒の瓶を赤ワインでよく洗ってください。瓶の中に、澱が入っていないようになるまで丁寧に洗った後、赤ワインをよく切ってください。


    3.   1日乾燥させてもいいですが、そのままでもそんなに問題は無いと思います。


    4.   赤ワインで洗った瓶にデキャンタしたポルト酒を戻してください。その日の内に飲む場合は、デキャンタのまま、お飲みになられて、残ったものを瓶に戻してください。


    5. 尚、飲みきられるつもりでしたら、赤ワインで洗う工程以降は必要ありません。デキャンタのまま、お飲みください。


  3. 保存について。

      まだ空けていないポルトも、空けた物もできればワインセラーに保管しておくことをお勧めします。長熟したトゥイニーもそうした方がよろしいと思いますが、普段飲まれるコルヘイタやブランド名トゥイニーなどの場合、そのまま保管して頂いてもよろしいと思います。
    (ただし、夏場の暑い時などはクーラーの効いている部屋で保管した方がよろしいでしょう。)

      保管の手順いついて説明します。

    1.   デカンタージュが終り、瓶に戻したポルトワインに栓をしますが、最初からついていたコルクではなく、バッキュバンと言うものがありますので、これをお買い求め頂き、ビンの中の空気を抜いてください。


    2.   空気を抜いたポルトをセラーに保管するのですが、家庭用のセラーの場合ポルトを立てておくことは難しいと思いますので、念のため、瓶の口のあたりにサランラップを巻き、少しでも、口の部分が高くなるように台などを置いてからセラーの中に保管します。


  4.   再度飲まれる時は、バッキュバンの栓を取り、そのまま、お飲みください。後の手順は同様です。


  5.   どのくらい良い状態を保てるかは、物によっても違うと思いますが、なるべく早く飲まれた方がいいでしょう。1〜2週間は大丈夫だと思います。


  6. その他注意点

      とてつもなく古いヴィンテージポルトを家庭で空けることは、お勧めできません。そのようなポルトの場合、コルクがダメになっていて、空けるときに特別なペンチが必要になるときがあります。これは、そのペンチを熱し、それで口の部分をはさみ冷やしてやるとガラスがきれいに切れるものですので、技術がない方には出来ないと思います。(私も出来ません。)
      20〜30年もの位でしたら、問題は無いと思います。
    (ただ、コルクがばらばらになっても空けることができれば、後は濾過するので問題ないと考えれば古いものでも空けることはできると思います。)


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参考文献




  文献が少し古かったりするため、多少のデーターの違いは、ご容赦下さい。






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